2017/05/20

桐の花咲く五月。

最近の出来事を赴くままに。


◉京都って銘打ってるけど滋賀。

滋賀まで地獄の出張でした。

今まで社会人やってきた中でも

なかなかしんどい現場でした。

通訳として召集されたはずなのに

わかっちゃいるけど設営もお手伝い。

自分のような職業を「IT土方」と

揶揄することがあるけれど

今回はリアル土方だったよ。

途中でホトホト疲れ果てて

いっそ琵琶湖にダイブしたろかい!

と思うくらいしんどかった。

とにかく撮影が無事終わってよかった

やーね、愚痴っちゃったわ。



◉寄席に突撃。

出張の反動で帰京後すぐに末広亭へ。

勇気を持って、生まれて初めて

紙切りのお題をリクエスト。

緊張で心臓が口から飛び出そうになる中、

清山下かってくらい吃りながら

ネ、ネネネネネネネコ!!!!

って叫んだ。ネコて。

気の利いたお題が見つからず、

咄嗟に出て来たのが

縄文人レベルのお題。

にもかかわらず正楽師匠は

見事なハサミさばきで

ネコの親子を切ってくださいました。

か、かわええ。うれしい。ほっこり。

また切ってもらいたいなあ。


その夜も突発的に立川まで落語会はしご。

タテカワちゃいまっせ、立川市です。

最近、新聞の見出しに

「米朝関係」とか書いてあると、

え?上方?とか思っちゃう。

もはやわたしは完全に毒されてる。


映画館で演る落語会、

座席がフワフワで楽チン。

ケツが死亡する浅草演芸ホールの座席も

このくらい尻に優しかったらなあ。



◉今年もユーロビジョン!

ユーロビジョンウォッチャーとしても

今年はとてもいい大会でした。

グランドファイナルで泣いてもたよ。

60数年間の歴史の中で

ポルトガルが初優勝!おめでとう!


各国英語で歌う中、自国の言葉で

三拍子でメランコリックでメロウなバラード

"Amar Pelos Dois"を歌い上げた

サルバドール・ソブラル。

作詞作曲は彼のお姉さんだそう。

ポルトガル語ってだけで

ちょっとブラジルのかほりがする。


優勝しても驕らず謙虚で、

ハナから賞を取りにいくことなんて

眼中にない感じがした。

ポアンカレ予想を解いた

ペレルマン(ロシアの仙人)のような(?)

俗っぽくない感じの青年。

https://youtu.be/Qotooj7ODCM


そこいくと対極にいる

優勝候補だったイタリアは

おかしな東洋趣味の音楽を

ひっさげてゴリラと踊り狂い、

これはこれでユーロビジョンぽくて

わたしはだいすきです。

なかなかのスルメ曲で、

キャッチーなポップス、悪くない。

歌詞にナマステ!て。


今年の開催国が、情勢不安定な

ウクライナだったけど

十年前に準優勝した

ヴェルカ・セルデューチカで

未だに盛り上がれるのが

ユーロビジョンのいいところ。

「あいん、つゔぁい、どらい!」


フィンランド代表は北欧メタルかと思いきや、

エンヤっぽい感じだった。

ハードコアかヒーリングのフィンランド。

極端やねん。プラスかマイナスか、みたいな。


それと熱唱系はもういいんだよなあ。

昔のようにもっと個性ある

ミュージシャンをおくれ。


コレ毎年言ってるけど

なんでこんなおもしろいモンを

日本で放送しないのか。

昨今のウンコみたいな番組より

よっぽどおもしろいと思うんだけど。



◉エンヤトットR&B。

イタリアで知り合ったフランスマダムから

「この日本語、イタリア語に訳してみて」

と連絡がきたのがまさかのソーラン節。


しかもキャッチーにアレンジされた

The staple singers バージョン。

なんつう珍盤、どう訳せと。


これがまた耳に残るアレンジで

気づけば体が勝手にノリだすからいかんね。



2017/05/09

血。

親戚のおじさん、

わたしの母方祖母の弟が亡くなり

通夜祭へ行ってきた。

おじさん一家はみんな神道なので

神式の通夜祭は初めて。


祖母は認知症で寝たきりなので

自分の弟の葬儀に出られない。

かわりに祖母の真珠の首飾りを

わたしが身につけて参列した。

祖母が働いていた日本橋三越の、

色がキレイな真珠の首飾り。

お金のない時代でも、

ちゃんとしたものを身につけていたんだなあ。



亡くなったおじさんは、

山の手の人だったけど

下町の人のように気さくで、口が達者で、

とても気風の良い人だった。


わたしがハタチのときに

なんの連絡もなしに

突然我が家へやってきて

成人のお祝い金をポンと置いて、

嵐のように帰って行ってしまう、

なんとも小ざっぱりとした人だった。



おじさんに最後の別れを告げるべく、

親戚一同大集合。

ウチの祖母方の親戚はおしゃべりで

集まるとうるさい。

そしてあんまり人の話をきかない。

イタリア人かよ。


ミツコおばさん(祖母の兄の嫁84歳)

わたしと弾丸落語トーク。

亡きおじさんを差し置いて

同じタイミングで亡くなった

三遊亭円歌師匠の話で盛り上がる。

「円歌師匠の落語、亡くなる前に

もう一度聴きたかったわ~」とミツコさん。

わたしは弟子の歌之介の心中が心配だ。



みんながワイワイ談笑しているなか

亡くなったおじさんの息子のてっちゃんが

母との会話中に、泣いていた。



「生きている間にもっと

親孝行すればよかった。」



食事療法していたおじさんのために

てっちゃんがごはんを作っても

おじさんが勝手に好きな食べ物を

買ってきて食べてしまい、

そのことが原因でケンカもしたという。


誰かが亡くなってはじめて

知る感情って無数にある。

ああすればよかった、

もっとこうしてあげたかった、

後悔や、感謝、懺悔……

亡くなってからでは相手に伝わらない。

時間は問答無用で流れていくから

自分で受け入れるまで待つしかない。

やがて訪れる家族の死を

わたしもちゃんと迎えられるだろか。

親と落語聞いてゲラゲラ笑う日々は

永遠じゃないし。



印象的だったてっちゃんの涙。

わたしももらい泣きしそうになって

ワキにフッと目をやったら

横でものスゴイ立体的な前髪の

祖母の末っ子弟(お調子者)が

上機嫌にベラベラ喋っていて、

一瞬にして涙が引っ込みました。

ものすごいコントラスト。

なにこの感情の大洪水。



通夜祭、来てよかった。


相変わらずの祖母方親戚。

みんな歳は取ったけど、

気が強くて、弱くて、愉快で、口が達者で、

それぞれの人にちょっとずつ懐かしい、

かつてのおばあちゃんの面影が見えた。


わたしの居場所は東京だ。

親戚家族みんな笑えるほど東京の人だ。

この街はと言えば、人はやたら多いし、

空は狭いし、星すらほとんど見えないけれど、

わたしのふるさとは東京です。


***


おじさんが亡くなって

母が古い写真を2枚、

引っ張り出して来た。

昭和7年。

通夜祭に参列できなかった祖母が

3歳のころの家族写真。

曽祖母に抱かれている。


撮った場所が記してあって

そこが、まさかのいまの職場と同じ

目黒区の某町内で、戦慄。


もう一枚は祖父方の曽祖父24歳。

カンカン帽にメガネ、羽織に扇子。

若い月亭可朝かとおもいました。

大正元年を記念して撮ったらしい。

場所は亀戸。

写真館の名前が記してあった。

写真館、まだあるのだろうか。



2017/04/30

今宵も笑って元気っこ。


4月29日

今夜も深夜寄席〜♪


柳家さん光「桃太郎」

 三遊亭美るく「マキシム・ド・呑兵衛」

(三遊亭白鳥・作) 

金原亭馬久:「干物箱

春風亭正太郎:「愛宕山」


トリの正太郎さん、拝見するごとに

上手くなる。おもしろかった。

初めて聴いた「愛宕山」は愉快痛快、

マンガみたいな噺だったのね。




しつこいほどにYebisu亭の余韻抜けきれず

主催者の方のブログからお写真を拝借。

( すみません、問題あればすぐ外します…)。

なんてすてきな御三方なんだ…かわええ。

写真を見てはニンマリ。



お次の予定は末広亭の5月余一会。

随分先だなあ。

あと6月の雲助師匠ときょんきょんの

二人会のチケットが

前から二列目という良席で

泣きそうになる。おお神さま!




確か去年の今くらいに病気が発覚、

うろたえていた時期だった。

あのとき入院していなかったら

今も落語のおもしろさを知らずに

平々凡々と過ごしていたんだよなあ、

と思うとスゴイよなあ。


今やご贔屓の噺家の追っかけとか

こんなんお前、どハマりしすぎだろう!

日本文化バンザイ!!


2017/04/24

春とビールとYebisu亭。

週末は落語ざんまいでした。

ああ、楽しすぎて多幸感。

この気持ちのままバーーーーっと

一気に書くよ、あたしゃ。


土曜日は相も変わらず、

新宿末廣亭での深夜寄席

この日は大当たり!楽しかった。


林家扇兵衛「牛ほめ」

柳家かゑる「都々逸親子」

柳家わさび「純情日記-横浜編-

柳亭市楽「井戸の茶碗」


わさびさんで喬太郎師匠作の

「純情日記 横浜編」を聴けるとは!

尺のせいかちょっと早口だったけど

この噺は本当によくできている。

「午後の保健室」もそうだけど

落語じゃなきゃ成立しない話だから、

これが談志の言うイリュージョン

なのかどうかはさておき

改めて、落語っておもしろい!

門下は違えど、柳家の底力を見ました。


そんでもって、その流れで

トリの市楽さんは大好きな噺「井戸茶」

ああ、いい噺を聴いた。




そして翌日は恵比寿ガーデンルームでの

Yebisu、これはサイコーだった!

すっっっっっっっごい楽しかった。

衝動的にチケット買った自分エライ!



初っ端のミニコントからもうたまらん。

喬太郎さんがまさかの前座役で登場。

高座の準備をしている喬太郎くんのところに

やってきたのは一之輔師匠。


「きみは随分歳をとっているようだが

一体何年目かね?」


「はい!52さいで入門しました!

いまようやく一年経ちました!」


「なんだその髪の毛は!苦労してるな!」


と喬太郎くんのボサボサの白髪頭を

指差す一之輔師匠。

先輩後輩の立場が逆転した

寸劇にゲラゲラ笑いました。


「これからもうひとりベテランの師匠が

来るんだからしっかり頼むよ!」


と出てきたのは一番手、モロ師岡氏。

一席目がまさかのゲストの自分で

困惑するモロさん、

サラリーマン落語を披露。


スーツ姿のサラリーマンの格好で登場し、

扇子じゃなくて、ペン、

手拭いじゃなくて、手帳を使う。

羽織じゃなくて背広のジャケットを脱ぎ出し、

江戸の人たちを現代のサラリーマンに

置き換えた落語ということで

「時そば」をベースに、そば代じゃなくて

タクシー代を誤魔化す噺になっていました。

「時そば」ならぬ「時タクシー」、

ちょっと反対俥も入ってた。

なんてアバンギャルドなんだ。

現代の八っつぁん熊さん、

おもしろかったなあ。



お次は春風亭一之輔「お見立て」

一之輔さんが特集されていた

「プロフェッショナル 仕事の流儀」を

観たあとだから感慨深かった。


「お見立て」に出て来る

田舎のお大尽さまの訛りを

イジってイジってイジり倒す

喜助が可笑しい。


番組で観たときの一之輔さんは

ちょっと卑屈で気が小さくて繊細、

だけど落語に真摯に向き合ってる

って印象だったけど

生高座、とてもよかった。

「落語ザ・ムービー」が楽しみだ。



仲入り前にはYebisu亭の主催者、

まあくまさこさんによる

「今夜踊ろう」という名の

みんなそろってのトークショー。


モロさんは今度、"本家キョンキョン"、

小泉今日子さんがプロデュースする

落語「名人長ニ」を舞台化した

お芝居に出るそうで、

「キョンキョンプロデュースなんですよ」

と言ったときのお客さんの反応と

柳家のほうのキョンキョンの顔が

可愛くて可笑しくてたまらなかった。



モロさんの舞台の話で盛り上がったあと

出て来たキョンキョンが演ったのは

なんと「名人長ニ~仏壇叩き」でした。

お芝居になるくらいだから長い噺らしく、

一章目が終わったところで終演。


「『名人長ニ』ってこんな噺だよ、

続きはモロさんの舞台で観てね」

ってことなんでしょう。

そういう粋なことを喬太郎さんは

何も言わずにサラッとやるからホント格好いい。


ちなみにこれも圓朝作です。

こないだ精神的ダメージを食らった

「心眼」を作った恐ろしい名人です。

トークのときにも言ってたんだけど

この「名人長二」、もともとは

フランスの作家モーパッサンの

「親殺し」って話が原案だそうで。

で、圓朝が舞台を日本にして

アレンジして作ったらしく

後半どんだけエグいんだろうと。

観たいような、観たくないような

不思議な余韻を残しての終演でした。


会場が恵比寿だけにワンドリンク付きで

ビール片手に楽しめる、いい会でした。

今日の私的ハイライトは

「前座・喬太郎くん」。

また次回も来たい!

2017/04/15

今日も今日とて深夜寄席。

新宿末広亭の深夜寄席が
来月から値上がりする…!
値上がる前に行っとこう
というセコイ理由で今夜も深夜寄席。
今日もたくさんの行列でした。

三遊亭小笑「皿屋敷」
春風亭柳若「猫の皿」
春風亭吉好「反対俥」
昔昔亭桃之助「紺屋高尾」

桃之助さん、深夜寄席卒業!
真打昇進おめでとうございます。
というわけでトリは大ネタ
「紺屋高尾」の一席でございました。

深夜寄席、ワンコインってのが
お気軽で良かったんだけどな〜。
あと2回、行っとこうっと。
来週はわさびさんだ。




2017/04/09

桜の森の満開の下。

金曜日に見た落語「心眼」を

まだ引きずっていて

昨晩はとてもイヤな夢を見ました。


昔慕っていた、とある人に

しばらくぶりに会ったら

その人は途轍もなく最低な人間に

様変わりしていました。

180度がらっと別人で怖くなった。


主人公の梅喜じゃないけど、

そんな夢を観てしまったことが

わたしの醜い部分なのだろうかと

いろいろ考えてしまう。


まだ落語を聴き始めたばかりのころ、

父親が、

「枝雀が『陰』なら喬太郎は『陽』」

的なことを言ってたけど

いやいやいや、喬太郎師匠こそ

心に闇を抱えているんじゃないかと

思うほどの語り口だった。



これがお芝居だったら

まだよかったのかもしれない。

ビジュアルが固定されているから

純粋なエンターテイメントとして

楽しめたとおもう。

落語って、自分の頭で想像するから

苦味もずっと残ってしまう。

なんてものを見てしまったんだろう。


あの落語の精神的ダメージがでかすぎた。

ダメだ。しばらくアカンな。

このブログに吐き出したら、

もう考えるのやめよう。


気分が陽気になるはずの春だけど

満開の桜さえ狂気に満ちて見える。




なのでこれから仕事行く。

気持ちを切り替えよ。



2017/04/08

「心眼」。

落語の感想ばっかり書いてるので

今回の柳家喬太郎独演会も、

今月もう一回行く落語会を観たあとに

まとめて書こうかなと思ったけど、

今回はあまりにもすごすぎて、

衝撃的で、感動しちゃって、

いまだに余韻がすごいです。

終演後、しばらく放心状態になってしまい

立ち上がれなかった。



「心眼」三遊亭円朝

マクラも振らずにトリで演ったこの噺が

本当に本当に本当に見事だった。

吸い込まれるように聴き入ってしまった。


盲人、メクラの男の話です。

お薬師様に願掛けに行った甲斐あり目が開き、

世界が見えるようになった梅喜という男。

今まで梅喜を支えてきた嫁のお竹が

心根は優しいが実は相当の醜女だった、

という事実を聞かされ

「あんなバケモノと所帯を持てるか!

メクラにつけ込んで近寄ってきたんだ!

と献身的に支えてきたお竹を裏切り、

美しい芸者と一緒になろうとする。

それを聞いていたお竹、

梅喜の首に手をかけ、締め上げ……


「こんなことならお前さんの目、

開かなきゃよかった…

と、お竹さん。


で、結局夢オチだったんだけど

夢から覚めてお竹に

「怖かった、怖かった……

と咽び泣く梅喜の姿に

人間の弱さが見えたのでした。

自分に巣食う悪魔をみた男。

わたしまで泣きそうになった。


誰しもが根底に持ちうる

人間のドロドロ渦巻く醜い部分や、狂気、

コンプレックス、弱さ、危うさなんかが、

全部剥き出しのまま真っ向からやってきて

聴いていて苦しくなった。



そして目を奪う喬太郎師匠の熱演。

キョンキョンが一瞬すごく嫌な人間に

見えてしまうくらい、迫真の演技だった。

こんな芸人がいるのかと、感動した。


わたしは昭和の名人も見たことないし、

上を見たらもっとすごい噺家が

存在するんだろうけれど、少なくとも

こんなに心揺さぶられる話芸を

魅せてくれる噺家を他に知らない。

喬太郎師と同じ時代に生きてて

それを生で観られて本当に幸運とおもう。


心眼。

メクラとか女乞食とかいうワードが

出てくる噺だから、

テレビで放送できないけど

これは後世に残したい。

人を惹きつける落語だった。



一席目のマクラで、嬉々として

「横浜を牛耳る闇の組織、崎陽軒!」

とか言ってた人とは同じ人間とは思えない

芸の幅の広さに、感動しました。

笑かせない落語もすごい。

喬太郎さん、かっこよかった。

シビれました。

いやはやアッパレ!



***

独演会の帰りしな、

母親にジェラートの持ち帰りを買ってもらった。

自分で払おうとしたら無理矢理拒絶された。


20年ぶりくらいに買ってもらった

アイスは涙が出るほど美味しかった。

オカンありがとう。

マザコンだな、わたしは。

長生きしてください。